ChatGPTは、その性能の高さから爆発的に普及が進んでいます。幅広い活用が可能な一方で、しばしば不正確な回答がみられることや悪用のリスクなど、活用の限界や懸念に関して多数指摘されています。また関連する情報は膨大で全容を把握することは容易ではなく、特にビジネスにおけるChatGPTの活用について一元的に集約されたものはないのが現状です。 「ChatGPTチャレンジ」は、ビジネスシーンでのChatGPTの「具体的な活用成功例」「具体的な活用失敗例」を集約し、集約された知見を参加者の皆様と共有することで、ChatGPTの理解を深めるという目的で開催されました。
「ChatGPTチャレンジ」活用成功例部門、活用失敗例部門の両部門で見事第1位に入賞したからあげさんに、コンペティション参加した体験談について語っていただきました。
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下心からはじまった「ChatGPTチャレンジ」コンペティション初挑戦体験記
はじめてのコンペティション参加は下心から
はじめまして、からあげです。普段は、愛知県で働いているエンジニアです。今回、SIGNATE様主催の「ChatGPTチャレンジ」コンペティションに参加した体験談を寄稿させていただきます。 「ChatGPTチャレンジ」コンペティションは、今話題のAIチャットサービスであるChatGPTを活用したコンペです。ChatGPTを使った成功事例/失敗事例をTwitter上で共有し、そのリツイート数がスコアになるという、従来のコンペティションとは一線を画したものになっています。私は、データサイエンス関係のコンペティションに興味があったものの、到底自分がコンペティションで勝てるとは思えなかったため、過去には、一度もコンペティションに参加したことがありませんでした。ただ今回は、Twitterのリツイート数がスコアということで、データサイエンスのスキルだけで勝敗が決まらないことと、自分のTwitterのフォロワー数が比較的多かったため、もしかしたら上位に食い込むことができるのではないかという下心もあり参加を決めました。 はじめてのコンペティションなので、様々な試行錯誤がありましたが、結果としては、総勢216人が参加する中、成功事例/失敗事例共に1位という最高の結果を得ることができました。
コンペ中はひたすらChatGPTで試行錯誤
コンペティション中は、何か困ったことや思いついたことがあれば、とにかくChatGPTを使い、興味深い結果が出たらTwitterで共有するということをひたすら繰り返していました。ネットでもChatGPTに関する話題が出たら、必ず目を通すようにしていましたし、プロンプトの工夫などに関しても関連する論文を読むようになりました。 そのなかでも、成功事例としてChatGPTを活用したのは、プログラミングの領域でした。きっかけは、妻の困りごとのツイートでした(我が家では、割とTwitter上でオープンに夫婦の会話をします)。
内容としては「複数ページのPDFを1つずつ別ファイルで保存する作業を自動化するプログラム」とそれほど難しいものではなかったのですが、このとき仕事で忙しかったため、なかなか自分でプログラミングをする余裕がありませんでした。そこで、ダメ元でChatGPTに頼ってみたところ、非常にスムーズかつ効率的にソフトウェアを開発することができました。この事例をTwitter上で成功事例として共有したところ、多くの反応を得ることができ、その結果コンペティションでのスコアも大幅に向上しました。 逆に、ChatGPTを使った作画に関してはうまくいかず、失敗事例となりました。以下は「初音ミク」をChatGPTで描いたものです。いろいろな人からアドバイスをもらったり、論文の手法を試したりしたのですが、満足いく結果が得られませんでした。
ChatGPTで描いた初音ミク ChatGPTは決して万能ではなく、得意・不得意があり、使いこなすには理論だけでなく、多くの実践が必要だと感じた例でした。実践のフィールドとして、今回のChatGPTチャレンジは非常に良いコンペティションでした。
コンペティション後半はコンペティション以外の領域への挑戦も
一方で、コンペティションが進行するにつれ、ChatGPTのAPIを用いたアプリ開発など、新たな領域への挑戦にも取り組むようになりました。とはいっても、実は途中からコンペティションの「ChatGPTを用いたプロンプトと回答の実行例を少なくとも1つ含む必要があります」というレギュレーションをすっかり忘れて、スコアを伸ばそうとやっきになっていただけだったりします(笑) ChatGPTのAPIを使ったアプリケーションとしては、音声認識と音声合成といった他のAIを組み合わせて実現した簡易的なAIアシスタントアプリや論文を要約してくれるアプリを作成しました。このアプリをつくるためのプログラミングやアプリのネーミングにも、ChatGPTが大活躍しました。 論文を要約するアプリは結構便利なので、今でも使用頻度は高いです。APIを使ったアプリも、実際に取り組むと様々な発見がありました。スコアには全く関係がなかったものの、コンペティションがこういった新しい領域へに取り組むきっかけになったことに感謝しています。 開発したアプリはOSSとしてGitHubで公開しています。よろしければ是非使ってみてください。 https://github.com/karaage0703/ronshuku
論文要約アプリ「ronshuku」。Discordへの投稿も可能
ChatGPTを使いこなそう
最後に、ChatGPTをコンペを通じて感じた、読者の皆さまへ伝えたいメッセージとしては、是非ChatGPTを使いこなして欲しいということです。 自分が使ってみて感じたのは、ChatGPTは非常に優秀な外注先みたいなものであるということです。仕事で実際に人に何かをお願いするときと似ていて、指示が曖昧なまま丸投げしてしまうと、多くの場合期待通りの結果が得られません。 ChatGPTの良い点は、非常に安価に使える点とすぐに結果を出してくれるため、何度でも試行錯誤ができる点です。ChatGPTの能力を引き出して、良い結果を出せるかどうかは、指示をする人間の側にかかっています。 今、将棋の世界ではAIが既に人間の能力を超えています。将棋では、AIと対戦することで、将棋の力を向上させていくことが常識になっているようです。ChatGPTの登場で、同じことがビジネスの世界でも起こるのではないかと思っています。つまり、ChatGPTへ的確な指示を出すことを練習することで「的確な指示が出せるようになる」といったAIを使う人側のビジネススキル向上にも繋がる可能性があると思っています。 ビジネスの成果を最大化させるため、そして自分自身のビジネススキルを向上させるための1つの手段として、是非ChatGPTの使いこなしにチャレンジしてみてください! <ChatGPTについての知見を集約する共創プロジェクト「ChatGPTチャレンジ」はこちら>