アメリカの実業家であるイーロン・マスクが立ち上げた航空宇宙メーカー「スペースX」に代表されるように、徐々にではあるが民間からも宇宙産業へと参入するプレーヤーが生まれ始めている。これから先、技術やノウハウが確立されていくに従い、その数はさらに増えていくだろう。しかし、まだまだ大きな裾野が広がっている領域がある。衛星データの活用だ。 ロケットの打ち上げや製造、そして各種周辺機器や部品の製造。それらを担う企業は増えつつあるものの、ロケットで打ち上げた衛星から取得したデータをいかに活用するかは、まだまだこれからというのが現状。そして、株式会社スペースシフトが取り組んでいるのが、まさにその領域である。 例えば、同じ場所の経年変化を読み取ることで地盤沈降を把握し、設備保守のサポートを行う。農地の状況から収穫物の生育状況を把握し、市場の需給予測を行う。天候に関係なく広域にわたるエリアの状況を定期的に、かつ正確に把握できる衛星データの活用範囲は、実に広い。では、そのポテンシャルを最大限に生かすために最も大切なものは何か。それは、優秀な人材に他ならない。会社のキードライバーとなる人材を確保するため、同社が目をつけたのはAIコンペティションだった。いったい何故、コンペティションに目をつけたのか。導入への障壁はなかったのか。そして、開催した手応えはどのようなものだったのか。同社の代表取締役である金本氏にお話を伺った。
天候や昼夜に左右されない安定したデータ取得で幅広い価値提供を。
当社は、衛星から取得したデータを活用した各種ソリューションの提供、データ解析のためのソフトウェア開発、解析情報を元にしたコンサルティングなどを行っています。衛星データから読み取れる情報や提供できる価値は多岐にわたります。例えば、関西国際空港様の案件では、衛星データを解析した結果、2年半でおよそ1mも地盤沈降していることがわかり、それを元に施設保有者へ保守管理に関するご提案をしました。他にも、回鍋肉の素を売るためのキャンペーンを打ちたい広告代理店から依頼を受けて、キャベツ農地の衛星画像を解析して生育状況を把握し、収穫量を予測したこともあります。このようにクライアントも、提供する価値も非常に幅広いのが、衛星データ解析の特徴です。 なぜ、これほど汎用的に活用可能なのかというと、衛星データならではの特徴が影響しています。当社で取り扱っているのはSARと呼ばれる衛星で、レーダーを用いて画像データを取得できます。通常の写真のような光学センサーの場合は、光が届かない場合、つまり雲がかかっている場合、夜間のデータ収集が難しいとの問題があります。しかし、SAR衛星であれば、曇りでも、雨でも、夜間でも関係なく広域の画像データを取得可能。そのため、継続して安定したデータを取得でき、その経年比較や特徴抽出により、あらゆる変化を把握できるのです。
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エンジニアリングへの知識や興味を持つ人が集まるコンペティションは採用に最適。
ここまでお話ししてきた通り、SAR衛星データの持つ価値は非常に高いものがありますが、そのポテンシャルを存分に活用しきれていません。さらなる活用のため、今一番必要としているのが優秀な仲間です。単純に、人員を増やせば捌けるデータが増えるのですが、それだけではなく、データの新たな活用先を見つけるために新しい知見や視点、感性を持つ仲間を必要としています。採用は当社にとって最優先事項の一つで、採用施策の一環として実施したのが、今回主催した新建造物検知アルゴリズム作成コンペティションです。 なぜ、コンペティションに目をつけたのか。その理由はいくつかありますが、一番大きかったのはアプローチできる人材の属性です。コンペティションへ参加する方々は、AIやデータ活用に関して強い興味を持ち、一定の知識やスキルも兼ね備えていらっしゃるはずなので、まさに当社が採用したいと思うターゲット像に合致する。そう考え、コンペティションの開催を決めました。 他にも、エンジニアコミュニティの皆さんに広く、我々の事業を知ってもらう契機にもなること。そして、コンペティションの課題に取り組む中で、宇宙に対する知識や開発経験がないとできない仕事ではとの懸念を払拭できそうなことも魅力でした。
![[070]competition-2](https://images.ctfassets.net/7z4do5alg1qg/19kUU3r05JitOxglpYPqt1/2b1b9a0f83e759228929f3ac7dd43b24/-070-competition-2.png)
コンペティションを数多く運営してきたからこその視点と発想に助けられた。
数あるコンペティション運営会社の中で、なぜSIGNATEさんを選んだのか。それは、衛星データを扱うコンペティションに関しては、SIGNATEさんが最も実績が豊富でしたし、企業だけではなく、省庁のコンペも頻繁に開催されていた点にも安心感を覚えました。そうしたこれまでの実績を評価してお声がけさせていただきました。 実際に開催に向けて動く中でも、豊富な実績に支えられた万全なサポート体制に助けられました。参加者目線で課題内容をチェック、アドバイスいただいて修正した部分も多くあります。例えば、評価指標の部分です。元々は社内評価で使用していたIoUを用いる予定だったのですが、それだと我々の本来の目的に合致しない評価になってしまうからと、代わりにFBetaScoreを提案していただきました。結果として、適切な評価ができたと思っています。こうしたサポートは、コンペティションのプロであるSIGNATEさんだからこそできるものだと思っています。 こうしたサポートと支援を受け、開催までの準備で苦労したことはほとんどありませんでした。スムーズに進みすぎて、本当にこれで大丈夫か不安になったくらい。当社の場合は、コンペティションのテーマも実際の業務に近い内容に設定したので、用意するデータも普段業務で使用しているものが流用できました。この辺りも、工数がかからなかった理由の一つかもしれません。これから開催を検討されていて、準備を不安に感じている企業様の参考になればと思います。
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次回は、SNSも活用してさらなる活性化を目指したい。
開催しての手応えも十分なものを感じています。採用を急ぎたい事情もあって、開催期間を短く設定したので、集客が少し不安でしたが、蓋を開けてみれば参加者や投稿も他コンペティションと遜色ない数が集まってくれました。投稿内容も素晴らしく、入賞者の方のアルゴリズムに関しては、我々の想定より高いスコアを出しているものばかり。量の面でも質の面でも非常に満足しています。 次回の開催も検討している最中ですが、次回開催に向けてはより多く集客したいと思っています。今回のコンペティションではSIGNATEさんだけでなく、我々側でももう少し工夫の余地があったのではないかと思っています。次回開催する場合は、SNS等での告知活動にも力を入れ、社員達にも参加を促し開催中のフォーラムなどももっと活性化させたいですね。 コンペティションから採用への接続については、まさに現在進行中ですが、ここはSIGNATEさんではなく当社の頑張りどころ。きちんと優秀な人材の確保に繋げるべく、全力を尽くしますよ。
![[070]competition-4](https://images.ctfassets.net/7z4do5alg1qg/61EpbUXC1rhLiBLV3oMx4P/3a9ea3ec167f906a77384cd0607b097c/-070-competition-4.png)
「コンペを活用した採用」を検討している企業へのメッセージ
人材のクオリティーが高いので、採用に最適という話はしましたが、もう一つ素晴らしいなと感じるのが、採用以外の面でも波及効果があるところ。当社の場合であれば、本業である衛星データの活用に関する新しい活用方法のタネを見つけたり、事業の認知度を高めたり。社員にも告知して参加してもらえれば、社内の人材発掘にも繋がるかもしれません。採用に力を入れることで、事業や人材の活性化にも繋がっていく。そんな好循環が回せるのもコンペティション開催のメリットだと思います。 <株式会社スペースシフト「新建造物検知アルゴリズム作成」のコンペティションの詳細ページはこちら>
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働く場所としての株式会社スペースシフトの魅力
当社では衛星データを扱っているので、日本だけではなく世界を舞台に、自分が作ったアルゴリズムが活用される機会があります。衛星自体にアルゴリズムを搭載しようなんていう計画もあるので、実現すれば全世界どころか宇宙で自分が作ったAIが動く可能性もあるわけです。そんな未来にワクワクするという方は、軽い気持ちでぜひ当社に遊びに来てみてください。大歓迎いたします。
『一緒に働くメンバー募集』から詳細をご確認ください。