2023年9月15日に、SIGNATE主催「SIGNATE Student Cup 2023」の表彰式が開催されました。「SIGNATE Student Cup」は、データサイエンススキルを持った学生の発掘、および企業と学生の交流を支援するために、SIGNATEが定期的に開催している学生限定のコンペティションです。今回のテーマは中古車の価格予測のモデリング部門と、ChatGPT部門の2部門での開催となりました。 表彰式ではモデリング部門の入賞チームと、ChatGPT部門の入賞チームの表彰、入賞者による解法プレゼンテーションも行われました。全員が学生ではあるものの、それを感じさせないような鋭い着眼点や、工夫を凝らした解法が示され、学びの多い表彰式となっていました。また表彰式のあとは、現地会場、オンライン会場それぞれで、企業と学生の交流会も行われました。 本記事では、イベントレポートとして一部を抜粋してお届けいたします。


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主催者あいさつ


株式会社SIGNATE 代表取締役社長 齊藤 秀 「今日お集まりの皆さんは、データやAIの価値を本当に理解されていて、そこに飛び込んでチャレンジされており、まさにこれからの未来を創るドライバーであると思います。こういった機会をきっかけに企業の皆さんと学生の皆さんがつながって、より良い未来を作っていく、そんなきっかけになればなと思っております」 次に協賛企業から会社紹介と求人情報の説明、SIGNATEからコンペティションの概要説明があり、入賞者の発表、プレゼンテーションへと続きました。

入賞者の発表


関係者によるご挨拶が終わり、表彰式はメインコンテンツである入賞者の表彰と、解法プレゼンテーションへと移っていきます。

【モデリング部門】 精度賞 第5位:チームGotyanabe 第4位:チームdistraction 第3位:チームpan_yori_gohan 第2位:macky 第1位:チームUTG_limp 特別賞 最多投稿数賞:Riku72o 連続投稿賞:中川蓮 【ChatGPT部門】 SIGNATE賞:m.ohki7 企業賞(三井住友信託銀行株式会社):hirohirohirohiro 企業賞(株式会社テクノプロ テクノプロ・デザイン社):Ryooou 企業賞(旭化成株式会社):ゆき 20210519193353 企業賞(株式会社ブリヂストン):hirohirohirohiro 特別賞 投稿企業数賞:m.ohki7 また本コンペティションのSlackで最も多く発言をしていただいた方を、Slackアクティブ賞として表彰しました。 Slackアクティブ賞:中川蓮 続いて、入賞チームによる解法プレゼンテーションです。まずはモデリング部門1位のチームUTG_limpからの発表で、どんな工夫をして入賞を果たしたのかを共有いただきました。授与では、0.01という精度を争う非常にレベルの高いコンペで競い合えたことに感謝の辞を述べられていました。

モデリング部門 精度賞 第1位

チームUTG_limp

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「最終的に3つのlightGBMを使ったモデルを作成し、それを後処理してアンサンブルしたものを最終提出ファイルとしました。前処理のポイントとしては、カテゴリ変数が多い中でSizeとConditionだけは、順序が意味を持つ特徴量だったので、この二つだけを順序尺度のラベルに変換しました。一番効いた特徴量は、分類タスクを解かせてその確率値を特徴量として加えるということをしました。後処理は、まず予測値を1000毎にグループ化し、それを1.1倍、0.9倍というようにグループごとにして、各区分ごとに全体のMAPEが最適になるようにn倍処理しました。この処理をするときに注意したのが、そもそも学習用データと評価データの分布に差がほとんどないことを前提としているので、過剰適合が懸念されました。その対応として、シードアンサンブルでシード毎に後処理をして、平均化をとるということをして、ある程度過剰適合への対策をとるようにしました。」 発表後には、SIGNATEデータサイエンティストの谷津から講評が行われました。 「学生向けのコンペティションと平行して、社会人向けのコンペティションも実施していました。合わせた傾向としては、みなさんlightGBMを利用してアンサンブルをされていました。チームUTG_limpさんもおっしゃられていましたが、MAPEの評価指標に対する理解や対応など、前提条件をしっかり把握するところが高精度への第一歩に繋がるかと思います。」 以上で、モデリング部門のプレゼンテーションが終わり、続いてChatGPT部門のプレゼンテーションに移りました。

ChatGPT部門 SIGNATE賞

m.ohki7「三井住友信託銀行様向けの提案、従業員成⻑支援rAIval(ライバル)」

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「協賛企業4社の有価証券報告書を読み、4社に共通するキーワードが“人材育成”でした。多様化する社会ニーズ、技術進化の速さに追随できなければ競争力を失ってしまう可能性があります。それに対処するために、多様な人材を雇用することは、この変化の激しい時代において必須となっています。なので、量より質、社員一人一人の質を高める必要があります。社員一人一人の質を高めるのを支援するのが、【rAIval】(ライバル)というサービスです。何か目標を達成したいとき、自分一人で頑張り続けるのは難しいですが、誰かライバルがいればその人に勝つことを目指して努力を続けられます。ライバルといっても、自分と実力が同じか、少し上の人が理想です。自分と同じ目標を同じ時期に持ち、自分より少し上の実力で、スケジュールが合う社内の仲間を、ChatGPTのAPIで作る提案をしました。」 発表後には、ゲスト審査員のからあげさんから講評が行われました。 「まず素晴らしいと思ったのが、【rAIval】(ライバル)というネーミングセンスです。AIという文字がかかっていて良かったです。またChatGPTにライバルを演じてもらうという発想がとてもユニークだと思いました。今は少子高齢化で企業の新入社員の方はライバルになるような同僚がだんだん減っている状況です。そしてこの状況は今後もますます続いていくと考えられます。そのため、このサービスのニーズは高いと思っています。また教育効果も高そうです。私もChatGPTを使っていて思うのですが、壁打ち相手として非常に優秀です。そのためこのサービスはChatGPTが得意なこと、適性をうまく掴んでいるサービスだと思います。」 以上で、全ての解法プレゼンテーションが終わりました。 この後は、イベントアンバサダーや協賛企業によるピッチ、企業と学生との交流会へと続きました。

まとめ


モデリング部門は参加者数530名、投稿件数5,186件と、参加者数は歴代の「SIGNATE Student Cup」では2番目の多さ、投稿件数に関しては過去最高となりました。またChatGPT部門はハードルが高い部門になると予想されましたが、参加者71名、投稿数39件ということで学生限定のアイディアコンペとしては最大規模の参加者数・投稿件数となり、大きな盛り上がりを見せました。 今回のコンペティションでは、フォーラムではなくSlackを活用し、参加者同士のコミュニケーションを図ったり、イベントアンバサダーによる初学者フォローイベントを開催したり、表彰式&交流会をオンライン、オフラインのハイブリッド形式で開催したりと、初めての試みも多く実施されました。 データ分析、生成AIへの関心はこれからも高まると思われます。企業のニーズにも関心を寄せながら、優秀な人材を輩出、発掘するコンペティションとなるよう「SIGNATE Student Cup」の発展にも期待をしたいところです。 <SIGNATE Student Cup 2023「中古車の価格予測チャレンジ」モデリング部門の入賞者レポートはこちら> <SIGNATE Student Cup 2023 ChatGPT部門の入賞者レポートはこちら>

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