Leader'sVoice_全ての社員をCXOにしたい。_EXIDIA_CTO_梶野尊弘

工学部卒の理系出身でありながら人材業界に就職し、その3年後にベンチャーへ飛び込み、転職から1年ほどでボードメンバーに。 そんな異色のキャリアを歩んできた梶野さんが仕事に向き合う姿勢はどのようなものなのか。今後の自社の展望と合わせて話を聞いた。

大手とベンチャー、どちらのメリットも捨てたくなかった。

電子情報工学化卒。AIの研究室に所属し、音声認識や自然言語処理を専攻。経験をストレートに活かすのであれば、SIerやITベンダーなどのいわゆるTech系が真っ先に選択肢に浮かんできそうだが、梶野さんの考えは少し違うものだった。 「将来的には自分でプロダクトを作りたかったのです。キャリア初期はそのための基礎固め期間として捉えており、どのような環境が最適なのかと考えたら、大手とベンチャーの中間くらいの規模感がいいかなと。双方のメリットを両取りできるので。」 大手の豊富なリソースや社内に蓄積されたノウハウ。ベンチャーのチャレンジングな環境と大きな裁量。そのどちらの恩恵にも預かることで、最短ルートで基礎を固める。それが梶野さんの判断だった。とはいえ、中規模の会社は国内だけでも数多存在する。あらゆる領域への親和性の高さ、外部研修への参加許容など自己研鑽の奨励度合い、新規プロダクト開発への意欲。様々な判断軸を追加しながら人材系広告会社への入社を決めたのだった。 しかし、この企業は3年ほどで飛び出し、現在の勤務先へと転職。その決断も自らプロダクトを作りたいという目的のためだったという。 「豊富なリソースを活用して、本当に多くのことを学ばせていただきました。しかし、スキルアップするにつれて、これまで見えていなかった制限を感じるようになり、会社の成長に比例して徐々にガバナンスも厳しくなって、部署、ポジションでの新たなトライがしづらくなってきたのです。」 気が付けば、会社は拡大、成長し、その恩恵を十分に受けることができた。ならば、次はその対極にあるベンチャーに飛び込んでみたい。大きな裁量を持って、ゼロからプロダクトを生み出していきたい。 2019年9月、梶野さんは古巣を後にして、新天地へと向かったのだった。

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ベンチャーなら、既存プロダクトの磨き込みすらゼロイチの仕事になる。

数あるベンチャーの中から、なぜEXIDEAを選んだのか。それは、学生時代に専攻していたAIへの想いが大きかったと梶野さんは語る。 「AIには高いポテンシャルがあるのに、マーケティング業界だと広告でしか使われていないイメージがあって、すごくもったいないと感じていました。サービスをグロースさせるプロセスでも、もっとAIを活用したい。それがこの会社に興味を持ったきっかけです。」 マーケティング領域は人材業界での知見が活かしやすいことや、社長の頭の良さに感銘を受けたこと、そして会社のコアバリューに共感したこともあり、入社を決意。入社後はSRE(※1)としてクラウドをメインに扱い、システムの性能改善やアーキテクチャの設計に従事した。 「仮説検証フェーズの施策プロダクトも設計しましたし、並行してデータ分析チームに所属するインターン生の教育を含めた社内の仕組みづくりも任されていました。プロダクト開発はまさにゼロからソリューションを生み出す仕事ですし、教育体制についてもルールが全くないところから手探り状態で作っていく。チャレンジングなベンチャーの醍醐味を満喫しながら働いていました。」 一方で、ローンチしたプロダクトの改善など、0から1ではない仕事も任されていた梶野さん。そうした仕事においても、ベンチャーでは自ら生み出していく感覚があると語る。 「たしかに、市場に最適化していくような業務は、プロセスとして0から1というよりは1から10にあたります。ですが、社内にはそのグロースを担当した人間が少なく、蓄積されているノウハウも乏しい。自分で考えながらやり方を模索していくしかなく、これはベンチャーならではだと思います。」 ※1 SRE(Site Reliability Engineering):Webサイトやサービスの信頼性を向上させ、価値を高めるための考え方や方法論。また、その取り組みを行うエンジニアのこと。

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イノベーターやクリエイターが集まる中心地に。

今もなお、ベンチャーらしいゼロイチの醍醐味を感じながら働いている梶野さん。しかし、2020年11月にCTOに就任すると、経営視点でも仕事を見るようになっていった。プレーヤーとして楽しみながらも、会社の成長を戦略的に思考する。そんな梶野さんが描く会社の未来とはどのようなものなのか。 「社員全員がCXOとして、自社サービスやプロダクトが提供する体験に責任を持つ。そんなプロフェッショナルの集団でありたいんです。そうなればきっと会社もプロダクトも自然に成長していくだけでなく、優秀な人達が周りに集まってくるはず。それはもちろん入社という形も歓迎ですし、協業や緩やかなコミュニティとしての繋がりでもいい。EXIDEAという会社を中心に優秀で魅力的な人たちが繋がる。それが今、EXIDEAと私が実現したい未来です。」 自分たちでイノベーションを起こす。周りの力を借りて新しいソリューションを生み出す。そして、チャレンジする企業のサポートをする。双方向のシナジーが生まれるようなオープンイノベーションの基地。そんな、自らが目指すEXIDEAの理想の未来に向けて、どんな道を辿っていくつもりなのか。その最初の一歩はやはり、梶野さんの原点であるプロダクトの開発だという。 「ブロックチェーンやAIなどの先端技術を取り入れたプロダクトを作りたいですね。世の中のメインストリームになるような領域で、自社の知見を活かせるのはこの辺りだと思うので。そこに、私もエンジニアとしてアイディアを出しながら、自分でも手を動かしながらプロダクト開発に取り組みたいと思っています。」

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会社として見据える未来に立ちはだかる壁、そして明るい兆し。

会社として理想の未来を実現するステップには、まだ大きな壁が存在する。 「人材が足りないです。AIやブロックチェーンの知見を持つエンジニアが社内にはほとんどいません。当社は動画マーケティングやWebメディア運営をはじめとしたSEOマーケティング領域を軸に事業を展開しています。そのため、マーケティングデータを取得し、いかにプロダクトとしてツール化やデータの活用、機械学習などに活かせるかという部分に強みを持っています。だから、コンテンツマーケターの比率が高く、AIやブロックチェーンという分野はこれから伸ばしていかなければなりません。採用と育成、そして意識改革。この3つを同時並行で回しながら、まさに今環境を整えているというフェーズです。」 良い兆しも見えている。インターン生として優秀な学生を迎え入れ、実際のプロダクトにも触ってもらいながら未来の戦力として育成も進めている。採用も強化していく考えだ。 「社内啓蒙も進めているところです。部署間の壁というわけではないですが、非エンジニアとエンジニア、データサイエンティストの間でリテラシーの差が大きく、スムーズなコミュニケーションが取れないシーンもある。マーケターであっても、経営陣であっても、エンジニアリングやデータサイエンスを理解していなければ事業も経営も向かうべき方向に迅速に向かっていけない。その差を埋めるべく、様々な施策を検討しています。」 まだ、道半ば。しかし、新天地にベンチャーを選んだのは、未踏の道を自ら切り拓きたいがため。その過程に待ち受ける苦労も困難も楽しみながら、糧へと変えていく。そうしてまた、明日からも梶野さんは自らを、そして会社を更なる成長へと導いていくに違いない。

今後の目標

今、世の中の活動は大きく二分されていっているように感じています。一つは、エシカル消費やSDGsといった動きに代表される感情的な部分や持続可能性を重視する層。一方は可能な限り無駄を省いて合理化を優先する層。どちらが正解というわけでもないのに、現状ではAIは主に合理化の側面でばかり用いられています。 しかし、エシカル領域でもAIは貢献できるはずなので、それを実現したいと思っています。また、ブロックチェーンはエシカル系のプロダクトと相性がいいはずなので、そうした意味でも早くプロダクト化したいですね。 ※株式会社EXIDEAのSIGNATE Campus掲載情報はこちら

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