学生No.1データサイエンティストを決めるデータ分析コンペティション「SIGNATE Student Cup 2022」が、2022年7月25日より開幕する。「SIGNATE Student Cup」とは、高度なデータ活用スキルを有する学生の発掘・育成を目的に、SIGNATEが企画する学生限定のイベント。 データサイエンスやAIモデリング等の技術・アイデアを競い合うデータ分析コンペ開催に加え、コンペ終了後には企業と学生が集まり入賞者の解法プレゼンや企業からのPRピッチなどを含むアフターイベントを実施。これらを通じ、学生に対してはスキルアップやキャリアを考える機会を、ハイスキル学生採用に力を入れる企業に対しては「出会い」の場を、それぞれ提供する。 第1回から審査員を務めている早稲田大学 理工学術院の内田真人教授に「SIGNATE Student Cup」や今話題のデータサイエンティストを目指す学生たちについてお話を伺った。

人脈、成長、第三者評価など「SIGNATE Student Cup」に参加するメリット

学生にとって「SIGNATE Student Cup」に参加するメリットはたくさんあります。例えば、人とのつながりの獲得やコミュニティへの参加、それらを新しく形成することができるなどの社会的な観点です。その中で、自分の知らない知識や技術、手法を情報として得ることができます。機械学習やAIの技術は日進月歩で進展している状況で、全ては追いきれないのが現状ですが、そういった中でいろいろな人の取り組みを知ることで成長をスピードアップさせることができます。またコンペという手法は、その時点で自分の能力がどれ程あるのか第三者に評価、証明してもらえる場にもなります。 別の視点ですと、コンペに出ることは実際の問題に取り組むことになるので、技術の向上や、チームで参加すれば知識の共有が期待できます。実際やってみたけれどうまくいかないということもありますが、教科書や論文に書かれている話とは随分違うと実感して、そんなに現実は甘くないと理想とのギャップを知る機会にもなりますね。フォーラム機能もあるので、知らない人とのコミュニケーションの中から知識を得られるメリットもあります。表彰式の入賞者プレゼンでは、他の参加者のアプローチやアイデアを知ることができスキルアップにつなげられます。 他には、こういった場があるということ自体が、機械学習やAIに対する社会的要求があると理解できる機会になっているのではないかと考えます。 実際に社会に出てからも、自ら試行錯誤したこと、うまくいったことやいかなかったことが、AIや機械学習を現実問題に適用するときに、発想の幅を広げたり引き出しを増やしたりすることにつながります。センスみたいなものも必要なので、どのように攻めるとよいかという勘所をつかむ経験ができ、社会人になったときに活かせる経験になりそうです。 他には、問題解決能力、チームで参加しているならチームワーク力、リーダシップやフォロワーシップ、コミュニケーション能力や計画立案遂行能力、やりきる力や考え抜く力などを身につけていくことができるのではないかと思います。実利がある言い方をすれば、企業へのアピールになる、自分の就活に役立つ、ということもあるかもしれませんね。

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社会に与えるインパクトや価値を踏まえた提案が魅力的、むしろ文系などすべての学生に参加してほしい

最近、情報技術の分野では、スキルに関わる力試しの場が広がり定着しつつあると感じています。競技プログラミングが流行っていて、わたしの大学の学生も興味を持って参加していたり、セキュリティ分野でもCTFと呼ばれるようなコンテストがあったりします。いわゆる人材不足と言われている分野において、人材発掘の場にもなっているのかもしれません。そういった中で「SIGNATE Student Cup」も楽しく参加できる貴重な機会になっていると思います。「SIGNATE Student Cup」には予測部門とは別に、インサイト部門というアイデアを競う部門が設けられていますが、機械学習、AI、統計を専攻にしていない学生や、文系の学生にも活躍するチャンスが広がっていて、むしろそういう人に応募してもらいたいです。 単に精度を上げるという話ではなく、その結果が社会に与えるインパクトや価値などを踏まえた提案だと魅力的です。技術者は、技術的な面を優先して社会的な視点が二の次になることがあります。いくら技術的に優れていてもそれが世の中で使われるかというと別の話で、社会的便益についても考慮することが求められていると認識してもらうことが大切です。インサイト部門には文系の方や情報分野に興味がある方、情報分野専攻で社会とのつながりに興味がある方にも、ぜひ挑戦してほしいですね。

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AIという流行は落ち着き基礎技術へ。問題に適したもの選ぶ『選球眼』が求められている

これまでの参加学生の中で印象に残っているのは中学生が参加していたことです。そういう点も含めて、「SIGNATE Student Cup」に参加している学生は多様性に富んでいることが特徴です。中学生から大学生、AIネイティブが増えてきたというのはわたしからすると時代が変わったなと思います。専攻分野も所属の大学や居住地もバラバラですし、この分野や業界を象徴していますね。 教壇に立つ立場からすると、皆さん見せ方やプレゼンが上手です。時々、発表資料だけ見て大丈夫かなと不安になるものもありますが、いざ話させると上手なんですよね。この資料でこう伝える技術があるのか、と驚きます。テクニカルな点だと発想が豊かで、一言でいうと若くて元気があるという感じでしょうか。 これまでを振り返ると、かつてはAIに対しての熱狂があったように感じますが、いい意味で全体的に学生の雰囲気も落ち着いてきた感じがしています。流行りものというよりは基礎技術の位置づけに変わってきて、社会背景などの周辺状況の変化も影響しているかもしれません。 技術的な観点からいうと、定番の解法が浸透してきて定石を暗黙知としてみんな理解しています。ただ上位入賞者で面白いのは、そこに何かスパイスを加えていて、着実さだけではなくそこを揺らがせる力が必要になってきている点です。求められるレベルが高くなっているのかもしれません。 一方で、昨年はシンプルな解法が上位入賞していました。原点回帰といいますか、難しく新しければ良いわけでなくて、問題に適したもの選ぶ『選球眼』が求められている、そんな変化を感じます。

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今回のテーマ「データサイエンティストの職種判別チャレンジ!!」について

第6回目となる今回のテーマは「データサイエンティストの職種判別チャレンジ!!」で、2020年に開催された「SIGNATE Student Cup2020」のリバイバルコンペだそうですね。 前回から2年経過し、技術の進歩により良いとされていた手法が本当に良いのか試す場にもなっていそうです。今回のテーマではテキスト情報を扱うので、性能限界がどれくらいなのか知ることができ、評価の理解が深まるとよいですね。これまでうまくいっていた手法か、全く新しいアプローチを採用するか選択が迫られます。すでにいろんな人が挑戦して、ある程度知見が溜まっている課題に改めて直面した時に、どうアプローチしていけばいいのかというシチュエーションを模擬していると捉えることができそうです。前回はまだ知識やスキルが追い付かなくてなかなかスコアが出せなかった方も、当時の自分と比較しながら挑戦してみると面白いかもしれないですね。 参加する方へのアドバイスとしては、つまずいたときに突破している方は、全く違う発想を持ってくるケースが多いと思います。プレゼンやレポートを読んでいると結果しか示されないことが多いのですが、実際にはそんなに簡単に結論に至ったわけではなく、視野を広げて違う方向からアプローチできないか試行錯誤されたと推測します。 チームで取り組む際は、役割分担ができているとうまくいくと思います。基本的には一人で考えるより総合力で勝負というところもあるので、普段からチーム内でのコミュニケーションも重要です。社会に出たときにも、技術だけやビジネスのことだけ考えていればいいわけではなく、いろんな人がいて調整する人や専門的にやる人など多様な関係性の中で解決していかなければならないので、その中でうまくやっていくのが大切です。そういうスキルを練習する機会にもなりますね。

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データ分析、データサイエンティストに興味を持っている学生へのメッセージ

機械学習やデータサイエンス、AI学習の分野は広がりを見せていて、ツールや手法も充実していて活況だといえます。裏返すと、参入障壁がなくなってきて誰でも挑戦できる状況になっています。そのような状況で何が大事になってくるかというと、冷静になって問題の本質をとらえる、技術的な土台がしっかりしている、理論を理解している、ということではないかと思います。今はちやほやされてキラキラして見える分野ですが、だからこそ足元をちゃんと見ることも大事です。小手先のテクニックに走らず、地味ではありつつも広い視野を持って活躍してほしいです。 「SIGNATE Student Cup」には、初学者の方にも気軽に参加してほしいです。既修者の方も力試しするのでもよし、箔をつけるのでもよし、最新情報を得るためでも、就活に役立てるためでもよし、たくさんのメリットがありますので、それぞれの目的意識の中で気軽に参加してほしいです。スキルや専攻、場所の制約を受けずに誰でも参加できるので、まずはやってみるというのがよいのではないでしょうか。 ※「SIGNATE Student Cup 2022:データサイエンティストの職種判別チャレンジ!」の詳細ページ <コンペティションページはこちら> <特設サイトはこちら>

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