2021年6月12日、ひろしまサンドボックス推進協議会事務局主催「画像データを使ったレモンの外観分類(ステージ2)」コンペティションの表彰式が開催されました。当日は、上位入賞者として1位から3位までを表彰。入賞者による解法のプレゼンテーションが行われました。オンラインでの開催でしたが、参加者からは多くの質問が寄せられ、注目の集まるコンペティションであったことが伺えました。 まずは、主催者代表であり、表彰式の司会も務めた広島県庁イノベーション推進チーム尾上氏より開会のご挨拶から表彰式は幕を開けました。
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主催者あいさつ
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広島県庁広島県商工労働局イノベーション推進チーム 地域産業デジタル化推進グループ 尾上 正幸氏 「この度は、広島県主催のレモンの画像分類コンペに参加いただき、誠にありがとうございました。本コンペの開催経緯について、簡単にご説明させていただきます。実は、広島県はレモンの生産量日本一を誇っております。一方で高齢化が進み、レモン農地が急傾斜地に作られていることもあり、農家の方々の負担が大きくなってきているという課題を抱えています。 そこで、出荷における選別工数を削減することで、少しでも農家の方々の負荷を減らしたいとの想いでコンペを主催させていただきました。おかげさまで、非常に多くの投稿が集まりましたので、本日の解法プレゼンテーションを広島県としても大変楽しみにしております。」 開会の挨拶に続き、運営を代表してSIGNATE高田氏より、コンペティション概要の説明が行われました。
![[005]Competition-Report-2](https://images.ctfassets.net/7z4do5alg1qg/1cGcKB7fkdyQrzKb3Q7LK6/964ca0eefd566d527c0ba9d99fb2c729/-005-Competition-Report-2.png)
株式会社SIGNATE シニアデータサイエンティスト 高田 朋貴氏 「今回のコンテストの課題は、レモンの品質を画像から推定するものになります。具体的には、与えられたレモンの画像に対して、4つの等級を予測する問題です。1つの画像に対して、4つのラベルから1つを選ぶ、いわゆる多クラス分類問題と呼ばれるものです。ステージを2つに分け、それぞれの評価用データと最終評価用のデータを用意してコンペティションを開催しました。なお、評価関数に関してはQuadratic Weighted Kappaを用いて、予測の正誤だけでなく、誤った場合も正解への近さを評価できる形を取りました。好成績を収めた解法については、この後入賞者の皆さんから直接解説いただきます。」
入賞者の発表
表彰式はいよいよ、メインイベントである入賞者の発表と、解法のプレゼンテーションへ。3位から順に表彰が行われました。見事3位に入賞したのはアルス氏。
第3位
アルス氏
![[005]Competition-Report-3](https://images.ctfassets.net/7z4do5alg1qg/4Yy35Vu7bhxCCCr0jYTQru/628426bc73818b742204460fd175e315/-005-Competition-Report-3.png)
「今回の精度指標はクラスの順序関係も考慮されたものでした。そのため、分類問題ではなくラベルの値を予測する回帰問題として捉えました。そのうえで着目したのが、同じ等級内の品質の差です。例えば同じ優良であっても、完璧な優良と、良寄りの優良があるのではと考えました。それを数値化することで回帰問題として解けるのではないかというアプローチです。完璧な優良は0.0、良寄りの優良は0.4、どちらも四捨五入すれば優良の0となりますが、品質の差が数値でわかるといった具合です。そして、回帰問題で解いた予測値を教師データとして、さらに回帰問題で解いたのが工夫ポイントになります。また、余談ではありますが、実際にエッジデバイスで動くのかが気になったため、手元にあったもので実際に動かしてみたところ、正常に実行できた結果も得られております。発表は以上です。ありがとうございました。」 発表後には参加者から様々な質問が寄せられました。その中の1つとして、「今回の予測モデルでは2.3といった小数点第一位までの数字が結果として出ると思うが、どう閾値を引いて等級を分類したのか」と質問が投げかけられました。これに対しアルス氏は「k-fold cross validationにより5つのモデルを作成して同じ画像を各モデルで検証し、その平均値を四捨五入し、0から3に収まるよう調整しました」と回答。他にも、回帰か分類かの判断基準等についても質問が寄せられ、会場の解法への興味の高さが伝わってきました。 続いて表彰されたのは、2位入賞を果たしたSuperString氏。SuperString氏による解法プレゼンテーションは下記の通りです。
第2位
SuperString 氏
「まず、自分の中でテーマにおいたのが実用性の部分です。コンペにおける結果だけを見れば、単純に今回与えられたデータセットに対する精度のみを追いかければいいことになりますが、今後実用化する上では、どのようなデータを識別することになるかわかりません。そこで、配布データ以外のレモン画像も判別できる汎用性のあるモデルを作ろうと考えました。そのため、モデル選択でも高速処理と汎用性を意識してEfficientNetを使用して転移学習を行いました。学習済みパラメーターを固定しつつ、最初の数レイヤーと出力近辺のレイヤーに関しては新たに学習を施したサンドイッチ型になっています。」 SuperString 氏は現在大学院にて物理学を専攻中で、AIや機械学習については初心者ながらコンペに参加したということもあり、学習方法やアプローチについての質問が寄せられていました。回答は「基礎的な理論に関しては書籍から学び、あとは論文を読みながら実装して検証を繰り返しました」というもの。きちんと基礎知識を学習した上で、試行錯誤を積み重ねて学んでいく、真摯な姿勢が伺える質疑応答でした。 そして、表彰の最後を飾るのは、見事優勝の栄冠を手にしたgiorno氏。
第1位
giorno氏
![[005]Competition-Report-4](https://images.ctfassets.net/7z4do5alg1qg/79aAzoHI887kMRGdtWWKPf/b054c383eb85fa1a6736d4b086640081/-005-Competition-Report-4.png)
「学習フェーズではtrain画像を学習用と評価用に分けています。それにデータ拡張とリサイズをかけ、EfficientNetを活用したモデルで学習しました。予測の段階ではテスト画像に対して、リサイズのみもらって予測モデルに導入し、予測結果を得ています。また、この中で精度向上に貢献したと思われるのは大きく2つ。1つ目がデータ拡張の部分です。画像効果をひたすら一つずつ適応していき、どれを使えば精度が向上するのかを愚直に調べました。2つ目は点数付けによる回帰のアプローチです。0123に値するような点数に見立てて回帰モデルで補足し、その結果を四捨五入して予測ラベルを得るという手法を取り入れています。簡単ですが、取り組み内容をご紹介させていただきました。」 発表後の質疑応答では、工夫点であるデータ拡張に関する質問等が寄せられました。「ステージ1の段階で色調に関するデータ拡張処理も検討したか」との質問に、giorno氏は「色調に関する部分もいじりましたが、グラフで出した時に有用な傾向が見られなかったので今回は切り捨てました」と回答。ただ、「コンペだけではなく、実用上の環境まで意識すると、組み込んだ方が良かったかもしれないです」との捕捉もありました。 以上をもって、3名の入賞者の表彰と解法プレゼンテーションが終了。最後に閉会のご挨拶として、主催者の広島県庁平河氏よりお話をいただき、閉会となりました。
![[005]Competition-Report-5](https://images.ctfassets.net/7z4do5alg1qg/1xhUUfcYOb6Q1cZiAMqQGh/785cde1841a95debe108fce43e258219/-005-Competition-Report-5.png)
広島県庁広島県商工労働局イノベーション推進チーム 地域産業デジタル化推進グループ 平河 直也氏 「広島県庁イノベーション推進チームの平河と申します。本日は表彰式にご参加いただき、本当にありがとうございました。そして入賞者の皆様、プレゼンテーションおよび質問へご回答いただき、有難うございました。広島県として今回、レモンコンペという形で開催させていただきましたが、今年度も別のコンペを企画しておりますので、こちらにもご参加いただければと思っております。またコンペに限らず、AIを学ぶ皆様が交流できるような、コミュニティや機会をどんどん作っていきたいと思っております。最後に入賞者の皆様、そして本日ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。」
まとめ
広島県の主要産業の一つであるレモン栽培。それがテーマとなった今回のコンペから、従来のような企業や団体の課題解決ではなく、地域課題にアプローチするという新しいコンペティションの可能性を感じました。今後、広島県に続き、他の自治体も続々とコンペティションを開催し、日本各地で住民の知見を活かした地域課題の解決へのアプローチが生まれるのではないか。そんな明るい未来も垣間見えた気がします。今回のコンペティションや、参加された皆様のアイディアが、少子高齢化をはじめとした日本を取り巻く社会課題を乗り越える第一歩となって欲しい。そう思わせてくれた表彰式でした。 <ひろしまサンドボックス推進協議会事務局主催「画像データを使ったレモンの外観分類(ステージ2)」の入賞者レポートはこちら>