ProjectStories_目の前の人の価値提供にこだわる_マイナビ_栗原康太

少子高齢化に伴う労働人口の減少。これは、日本が避けて通ることのできない大きな社会課題だ。そして、採用はまさにその影響を直接受ける領域。新卒、中途を問わず採用活動の難易度は高まっていくだろう。 そこで現在、大きな期待がかかっているのがAIの活用だ。近年「HRテック」として、最先端のテクノロジーを活用した人事業務全般の効率化が進んでいる。当然、採用領域もこの例外ではない。ビッグデータや機械学習を用いた、企業と求職者のマッチングを最適化することで、採用におけるあらゆるコストを削減する。今後の企業の採用活動を左右すると言っても過言ではないこのプロジェクトを担うのが、株式会社マイナビでデータサイエンティストとして勤務する栗林康太さんだ。 栗林さんが、どのような想いで転職を決意し、マイナビを選んだのか。どのような想いで、AI活用に向き合っているのか。その全てを、本音でお話しいただいた。

学生時代から一貫して、大気中の物質に関わるビッグデータ分析に没頭。

現在は、自社サービスを通してあらゆる企業の採用支援を行っている栗林さん。しかし、マイナビに転職する以前は、企業とは少し離れたアカデミックな世界で生きてきた。 「学生時代は環境学を専攻していて、地球環境に関する研究を行っていました。衛星から送られてくる膨大なデータを分析しながら、中間圏と呼ばれる地球大気の層に塩素系物質等がどれだけ存在するのかを調べていました。衛星のデータは電気信号で送られてくるので、それを物質の存在量に変換するアルゴリズムの整備・改良を行っていました。」 学んできた知識を活かして、博士課程修了後は研究開発法人に博士研究員として勤務。そこでも引き続き、環境データの利活用に関する研究に従事していたという。 「それまでは衛星データを用いていましたが、ここでの分析対象は個人データでした。センサーのついた携帯デバイスを持ってもらい、得られたデータからPM2.5の個人暴露量を分析・推定するテーマに取り組んでいました。分析のために付随するデータの収集基盤を作ったり、デバイス自体の開発もしたりしていました。」 学部生時代から研究活動に従事し、修士課程、博士課程へと進学。その後も博士研究員として2018年まで勤務。実に、10年近くもアカデミックの道を歩んできた栗林さん。しかし、勤務開始から約1年後の2018年に、キャリアの大きな転換点を迎えることになるとは、本人も想像すらしていなかった。

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良い実験結果を出すよりも、目の前の人に価値を提供したいと思った。

栗林さんのキャリア観が大きく変化したのは、勤務先で行ったあるプロジェクトがきっかけだった。製作したデバイスを市民の方に実際に使ってもらう実証実験で、人に価値を提供することへの興味が湧いたのだという。 「実証実験は研究に必要なデータ取得を行うことが目的で、開発したデバイスやデータ収集基盤がきちんと動作し、PM2.5の個人暴露量の測定が出来れば良しとされていました。しかし、実験に参加いただいた市民の人が『そんなこともわかるんだ、すごいね』と言ってくれているのを見ているうちに、ただ実験結果を導き出すだけでなくて、この目の前の人達に何かしらの価値を提供してあげたいと思ったのです。研究も長い目で見れば、誰かのためになるのは間違いありません。ただ、もっと実用性や生活者の利益を起点に、直接的に貢献できる仕事に興味が移っていったのです。」 実験であれば、協力してもらう側。さらに、国立の研究開発法人に勤務していたため、研究活動も税金で賄われている。そうではなく、目の前の人に価値を提供し、対価としてお金をもらう。そんな働き方を求めて、栗林さんは転職活動を開始した。 「これまでの研究を活かした仕事がしたいと思っていたので、ビッグデータを活用しているような企業を中心に受けていました。メーカーが多かったと思います。転職活動を始めた頃は正直、人材業界への興味はほとんどありませんでした(笑)」 ところが、紹介会社から人材業界を受けてみてはどうかと勧められ、自分でも調べていくうちに徐々に興味が湧いてきたという。それは、人材業界が扱うデータが特徴的だと気づいたからだった。 「扱うデータが生身の人間のデータなので正解がないのです。正解を導き出すための研究と真逆で、これは面白そうだと思いました。それに、人の考え方や行動は時代とともに変わっていくので、100点ではなく及第点を出しながら仮説検証からサービス提供のサイクルを高速で回し続ける必要がある。研究活動はどちらかというと、じっくり腰を据えて成果が出るまで何年も粘ることが多いですから、新鮮で興味を持ちました。」

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AIによる自動マッチングで、ユーザーと企業、そして自社の全てに価値提供を。

人にまつわるデータの面白さ。常に時代を追いかけ、先回りする仕事のスピード感。これまでの研究活動にはなかった刺激に惹かれてマイナビへの入社を決めた栗林さん。入社後は一貫してデータサイエンティストとして勤務。現在は複数のプロジェクトに参画しながら、全方位でのAI活用を実現すべく奮闘している。 「現在は、三つのプロジェクトに携わっています。一つ目が全社のAI活用プロジェクト。領域ごとに分科会があるので、それぞれの進捗を確認したり、ベンダーから上がってくる分析結果をチェックしたり。自分で分析を回すこともあります。二つ目は、ユーザーのニーズに沿ったナビサイトの機能改修プロジェクトです。登録はしてくれたものの、未応募の休眠ユーザーの活性化に取り組んでいます。三つ目が、転職エージェントサービスにおけるマッチングの最適化です。社内に蓄積されている人と企業とのマッチング成否のデータを解析して傾向を導き出し、それをもとに案件や人材ごとのレコメンド機能を開発・実装しています。」 いずれも重要なプロジェクトではあるものの、特にマッチングの最適化には力が入るという栗林さん。それは、企業や求職者への価値提供に直結している上、自社の利益向上にも貢献できると感じているからだ。 「マイナビの転職エージェントサービスでは現在、求人案件ごとに適した人材をキャリアアドバイザーが人力でマッチングしています。これには、求職者から丁寧なヒアリングを行い、機械的に付与できないような細かい特徴や情報を踏まえてマッチングできるメリットがある一方、登録者は多種多様で、企業側の人材要件も無視することはできなく、結果として紹介される求人案件が少ない求職者が出てきてしまう。そうした方たちにもAIによる自動マッチングで案件を紹介できるようになれば、求職者への機会提供になり、企業の採用成功にもつながる。それは巡り巡って当社の利益にもなるのです。まさに、ビジネスの世界を志した理由でもある『目の前の人への価値提供』に繋がるやりがいのある仕事だと感じています。」

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事業部やサービスの枠を超えたデータ活用を目指して。

登録しただけで終わる休眠ユーザーをなくしつつ、AIを活用したレコメンドで、全てのユーザーに機会を提供する。その実現に向けてプロジェクトを動かしている最中ではあるが、栗林さんが本当に実現したい未来は、さらにその先にあるという。 「事業部やサービスの壁を超えて、全てのデータを一元化して管理や分析ができるようにしたいです。マイナビは、人材領域だけでも様々なサービスを持っています。パート、アルバイトの紹介、新卒での就職支援、転職支援等々。これらのデータを横断して活用できれば、人生に寄り添うような形で価値を提供できる。例えば、就職活動においてアルバイトのデータをもとに、候補企業をレコメンドしたり、企業が中途採用を実施するときにも、新卒採用等のデータをもとに、より良い掲載情報を企業にご提案したりできる。そんな世界を実現したいと考えています。」 ビジネスパーソンとしてのキャリアの起点である、目の前の人への価値提供にこだわる。それが表れている、実に栗林さんらしい理想の未来像だ。その理想を叶え、ユーザーの満足できる転職と、企業成長に寄与する採用で溢れた社会を実現するまで、栗林さんの挑戦は終わらない。

今後の目標

「社内のサービスを一通り経験してみたい」と思っています。事業部やサービスの枠を超えたデータを活用するためには、それぞれのサービスや事業を当事者として知っておくことが不可欠と思っているからです。それぞれのデータの持つ意味を事業の主体者の目線で深く理解し、正しく効率的に活用できるようになりたいですね。 ※株式会社マイナビのSIGNATE Campus掲載情報はこちら

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