IoTやDXの推進がすっかり世の中に浸透してきたように、ITが進歩するスピードには目を見張るものがある。とりわけAIの世界では、日夜新しい技術が生まれており、最先端テクノロジーという言葉も、あっという間に賞味期限を迎えてしまう。 しかし、技術や理論が生み出されることと、それを活用することの間には大きな壁がある。新たな理論を生み出してきたのが研究者であり、アカデミックの世界だとするならば、それを社会実装していくのがエンジニアやデータサイエンティストであり、ビジネスの世界である。中でも、先陣を切ってデータサイエンスを活用してきたのが広告という領域だ。 株式会社サイバーエージェントでデータサイエンティストとして勤務する早川さんも、その広告領域に魅せられた一人。果たして、データサイエンスの最前線に立つ広告というフィールドで、早川さんが成し遂げたいこととは。仕事にかける想いを本音で語っていただいた。

AI技術を活用して、社会に大きなインパクトをもたらしたい。

大学院まで進学し、機械学習を用いた都市動態の予測を研究。AIの知見を活かしてデータサイエンティストかエンジニアへ。進路は比較的スムーズに決まるように見えた早川さん。しかし、今やAIはあらゆる業界で使われている。では進むべき業界はどこにすべきだろうか。数多の選択肢からWeb業界を選んだ理由、そのキーワードは『社会実装』だった。 「そもそも、AIに魅力を感じていた大きな要因の一つが、社会へのインパクトでした。これだけ凄まじいスピードで進歩していて、できることも幅広い技術。きっと、近いうちに社会全体に大きなインパクトをもたらすことができるのではないかと思いました。そのためには、研究で終わるのではなく、プロダクトやサービスに落とし込む必要がある。そのチャンスを若いうちから多くもらえるのはフットワークの軽いWeb業界かなと。」 年次に関係なく、AI技術を用いたプロダクト開発の打席に立てること。開発のための技術的な素養を磨けること。その条件に当てはまったのがサイバーエージェントだった。 「サイバーエージェントは若手にも大きな裁量を与えてくれるイメージを持っていました。それだけでなく、社内に最先端のAI技術を研究する専門の組織もある。なにより、その組織がビジネス部門と同じフロアにあるのです。実際に物理的な距離の近さがあるだけでなく、仕事上でも日頃からたくさんの連携をしています。この距離感がとてもいいなと思いました。技術と事業の距離が近くなければ、せっかく研究した技術を社会実装するのに時間がかかってしまいますから。」

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キャッチアップした技術を、いかにして価値へと変えていくか。

サイバーエージェントは幅広い事業を展開しており、その多くでAIが導入されている。中でも早川さんは広告事業を希望した。早期からデータサイエンスを実装し、成功させてきたのが広告ドメインだったからだ。 「今は、念願叶って広告プロダクトを担当し、ユーザーの行動履歴をデータとして活用した機能改善や、購買データを活用した新規の広告プロダクトの開発も任されています。開発過程では、弊社の研究組織の研究員と一緒に研究をして、国際会議で論文を発表することもあります。まさに、最先端技術の研究と、その実装を同時並行で回していると言えますね。」 希望通り広告事業に携わりながら、顧客や社会にインパクトを生むような社会実装を、最先端の技術をキャッチアップしながら行う。やりたかった仕事そのものだ。しかし、早川さんは決して満足していないという。 「今感じている大きな壁は、技術をどう価値に変えるかという部分です。例えば、先ほど話した研究組織との共同研究に関しても、論文はアクセプトされましたが、プロダクトへの実装にはそこからかなり時間がかかりました。技術として確立することと、それを価値に変換して顧客や社会へ届けることは違う難しさがあります。」

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技術そのものではなく、技術によって実現できる意思決定こそが価値。

一口に技術を価値に変えるとは言っても、その過程で考えるべきことや解決すべき課題は山積している。特に、新規プロダクト開発ともなればなおさらだ。 「先日開催された技術イベントで、同じチームの先輩でデータサイエンティストの藤田が『事業立ち上げにデータサイエンティストは必要なのか(※)』というテーマで発表したのですが、まず前提として大まかな事業の方向性があった上で、データサイエンスのロードマップをどうするかを考えました。全体像が描けたところで、データ基盤から整備をして、基礎的なデータサイエンスタスクはいくつか実行しました。一方でプロダクトの営業戦略もビジネスと協力して立てていくこともありました。これらのフロー全体が整備されて初めて、AIを用いたプロダクトが顧客に価値として届くと思っています。」 営業戦略の立案のように、一見データサイエンティストの職務領域からは外れているのではないかと思うようなことも、早川さんの守備範囲に入っている。 「マーケティングにおいては、データサイエンス自身は商品にはなりません。例えば、チャットボットや音声対話などはAI技術が事業価値のコアになりますよね。でも、マーケティングでは、データサイエンスを活用した意思決定こそが価値。だから、技術によってどう意思決定を改善するかが重要です。」 そもそも、データサイエンスを活用することで、どこでどのような意思決定ができるのか。それが顧客にどのような価値をもたらすのか。価値に繋がるまでのストーリーはどうなっているのか。そこまでを描いてこそ、データサイエンスが事業にとっての価値となり、顧客の先にある社会へのインパクトにつながっていくのだ。 ※20代のエンジニア・クリエイターが中心となって創り上げる株式会社サイバーエージェントの技術カンファレンス「CA BASE NEXT」での発表内容 https://ca-base-next.cyberagent.co.jp/sessions/start-up-and-data-science/

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事業の価値を生むことに責任を持ちたい。

開発の上流から下流、そして顧客に価値として届くまで。その全てを描く必要性はわかった。しかし、その全てに関わる必要はないのではないか。先端技術のキャッチアップ、そしてプロダクトの磨き込みにフォーカスして、他の部分は専門の部署に任せる。そんな方法もあるのではないか。そんな疑問に対する早川さんの答えは「NO」だった。 「この業界、そしてこの会社を選んだのは、AIには社会にインパクトをもたらすポテンシャルがあると信じたから。そのポテンシャルを自分の手で実装したかったからです。実際入社してみて技術を価値に変えるにはいくつも壁があることを実感しましたが、一方で自分自身の手で乗り越えたい壁だとも感じました。きちんと事業として価値に変えるところまでのストーリーを自分で責任をもって描いて実行したい。その先にある未来として事業全体の責任をもてるようになる、というのが私の夢です。」 また早川さんは、サイバーエージェントはそれができる環境だという。 「サイバーエージェントにはそういった(技術を事業価値に変えるという)意思をもって働いている優秀な方が多くいます。実際にそうした方々と協力してデータサイエンスによる価値を自分の担当するプロダクトだけで完結させるのではなく、事業部や、全社に広げていく、という取り組みもしています。自分自身もデータサイエンスに関連する全工程に責任を持ってとりくみ、経験を積むことでサイバーエージェント全体の価値や社会へのインパクトが大きい状態になっていくと考えています。」 AIの技術を顧客にとっての価値に変換し、社会へのインパクトとして繋げていく。そのために必要なことを、プロダクトやチームの仲間と一緒と協力しつつ責任を持って遂行していきたい。それは早川さんが掲げた夢に対する覚悟の現れだ。その覚悟が実を結ぶとき、AIが、そしてサイバーエンジェントが生み出す価値は今とは比べものにならないほど大きくなっているに違いない。

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今後の目標

まずは、担当している新規プロダクトのグロースに全力を尽くしたいと思っています。プロダクトの成長フェーズが変われば、求められるスキルも変わってくる。つまり、プロダクトと共に、自分も成長していけるのです。このプロダクトが会社を代表するようなサービスになった頃には、あらゆるスキルが今より一段も二段もレベルアップしていると信じています。 <株式会社サイバーエージェントの技術・デザイン関するニュース記事はこちら> <株式会社サイバーエージェントのSIGNATE Campus掲載情報はこちら>

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